ブログ内検索

オーガスト・レイモンドの歴史


オーガスト・レイモンド氏(1872-1946)

みなさんこんにちは。オーガスト・レイモンドの時計もしくはユニタスムーブメントが気になってこのページに辿り着きましたね?


オーガスト・レイモンドは非常にスタイリッシュな時計を作る魅力あるメーカーですが、日本では情報が少ないので、海外の公式サイト等を参考に、オーガスト・レイモンド社の歴史を簡単にまとめてみました。

▼オーガストレイモンドの時計
オーガストレイモンドの時計(公式サイトより)

オーガスト・レイモンド社

1898年、オーガスト・レイモンド氏が26歳(※)の時、スイスのトラムランにアパートの一室を借り、そこでほんの少数の時計師を雇い、時計の作製を始めました。これがオーガストレイモンド社の始まりです。

(※オーガスト・レイモンド氏が27歳の時に会社を設立したと書かれているサイトが国内海外問わず複数確認出来ましたが、公式サイトではオーガスト・レイモンド氏が26歳の時に会社を設立したと書かれています。また、オーガスト・レイモンド氏は1872年生まれなので、そこから計算しても会社を設立した1898年は26歳のはずです。)


その後、事業は順調に成長し、1902年には、従業員数も100名を超え、自社ビルも所有する等、経営も順調でした。

成長したオーガストレイモンド社

受賞

1910年には、その品質の高さから、ブリュッセル世界博覧会で金メダルを受賞。その4年後にはスイス全国展でも金メダルを受賞しました。これにより、オーガスト・レイモンド社は更に有名になり、会社も更に発展していきました。


ユニタスの買収

1926年には、低価格で高品質なムーブメントを作製することで世界中に知られていたユニタス時計会社を買収しました。また、それまでオーガスト・レイモンド社で作製していたエボーシュやムーブメント、時計にもユニタスの名前を冠するようになりました。これにより、オーガスト・レイモンド = ユニタス という構図が出来上がります。


方向転換

1920年代後半になるとレイモンド氏は、車の普及や科学技術の発達により人々の生活ペースが速くなっていることに気が付き、今後は利便性の高い腕時計が主流になり、懐中時計は衰退していくと予測しました。


そこで、レイモンド社はクロノメーターやクロノグラフ、アラーム付きの腕時計を盛んに作るようになります。また、この時に作製したパイロットウォッチはすぐに人気になりました。更に、この頃には、最初に防水時計を手がけたメーカーの一つとしても有名になっています。


1950年代前半になると、オーガスト・レイモンド社は、ジャンピングアワーのデジタル時計や視覚障害者用の点字時計等の特殊なラインナップも展開するようになります。


クォーツショック

1970年代後半になると、世界中でクォーツ時計の売り上げが伸びていき、オーガスト・レイモンド社も他のスイス時計メーカー同様、クォーツショックにより大打撃を受けます。ここから苦難の時代が始まります。


オーガスト・レイモンド社の再生

しかし、1989年に転機が訪れます。同じくスイスのトラムランでルーズリー家が経営をしていた時計メーカーMontres Nitella SA」がオーガスト・レイモンド社を買収し、トーマス・ルーズリー氏がマネージング・ディレクターに任命されます。


トーマス・ルーズリー氏は美術史とフランス文学の学位を所有している時計デザイナーでした。この時のルーズリー氏は27歳でした。


ルーズリー氏は、古き良き時代の時計ーつまりは機械式時計ーでオーガスト・レイモンド社を立ち直らせる決心をしました。


まず初めに、ルーズリー氏は新しいオーガスト・レイモンドのロゴを創りあげました。今日のオーガスト・レイモンド社の腕時計に描かれている、あの筆記体のロゴです。

昔のポスター。オーガストレイモンドのロゴは「ARSA」だった。



筆記体になっている現在のロゴ

新しいロゴを作り上げて2年しないうちに、今度はルーズリー氏は新しい機械式時計のデザインを発表しました。


トーマス・ルーズリー氏が発表したコレクションの名前は「ジャズ」。創設者オーガスト・レイモンド氏が、こよなくジャズを愛していたことから名付けられました。


現在

オーガスト・レイモンドと聞いて、それが時計メーカーだと分かる人はほんの少数です。時計好きな人でないと知らないメーカーだと思います。しかし、最近は大きな腕時計が人気ということもあり、元々は懐中時計用のムーブメントだったユニタス6497や6498が使われている腕時計も多くあります。


あなたの知らないところでもオーガスト・レイモンド(ユニタス)のムーブメントが使われているかもしれませんよ。


おわりに

大抵の機械式腕時計の稼働音は、時計に耳を近づけた時に「チチチチ・・・」と微かに聞こえる程度ですが、オーガスト・レイモンド(ユニタス)のムーブメントは他の腕時計用のムーブメントと違い、耳を近づけなくてもカチカチカチ・・・と非常に心地いい音がします。


秋の夜長、一世紀以上も続くオーガストレイモンドの歴史に思いを馳せながら時計の音に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。

ブログ内検索